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脂漏性脱毛症におすすめのシャンプーの選び方
脂漏性脱毛症のセルフケアにおいて、毎日のシャンプー選びは治療の成否を分けるといっても過言ではないほど重要な要素です。頭皮のベタつきやフケが気になるからと、ただ洗浄力が強いだけのシャンプーを選んでしまうと、かえって症状を悪化させてしまう可能性があります。脂漏性脱毛症のシャンプー選びで最も重視すべきポイントは、「原因菌にアプローチし、かつ頭皮に優しい」ことです。まず、最もおすすめなのが、脂漏性皮膚炎の原因となるマラセチア菌の増殖を抑える「抗真菌成分」が配合された薬用シャンプーです。代表的な成分に「ミコナゾール硝酸塩」や「ピロクトンオラミン」などがあります。これらの成分は、菌の活動を抑制し、フケやかゆみを根本から改善する効果が期待できます。ドラッグストアなどで購入できるので、まず試してみる価値は高いでしょう。次に、シャンプーのベースとなる「洗浄成分(界面活性剤)」にも注目です。洗浄力が強すぎる「高級アルコール系」のシャンプー(ラウレス硫酸Naなど)は、必要な皮脂まで奪い去ってしまい、頭皮の乾燥を招き、かえって皮脂の過剰分泌を引き起こす可能性があります。選ぶべきは、頭皮への刺激が少なく、適度な洗浄力を持つ「アミノ酸系」の洗浄成分(ココイルグルタミン酸Naなど)や、「ベタイン系」の洗浄成分を主としたシャンプーです。さらに、炎症を抑える「グリチルリチン酸ジカリウム」などの「抗炎症成分」や、頭皮の乾燥を防ぐ「保湿成分」(セラミド、ヒアルロン酸など)が配合されていると、より理想的です。シリコン(ジメチコンなど)については、髪の指通りを良くする一方で、毛穴を詰まらせる可能性があるため、頭皮ケアを優先するなら「ノンシリコン」タイプを選ぶのが無難です。シャンプーは、ただ汚れを落とすためだけのものではありません。自分の頭皮の状態に合った、治療の一環としてのシャンプーを選ぶという視点を持つことが、つらい症状からの回復への近道となります。
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女性のヘアサイクルと薄毛の関係
女性の髪は、その一生を通じて、男性以上にダイナミックな変化に晒されます。その背景には、女性特有のライフステージと、それに伴う「ホルモンバランス」の変動が、ヘアサイクルに深く関わっているからです。女性の髪の健康を守る上で、最も重要な役割を担っているのが、女性ホルモンの一種である「エストロゲン」です。エストロゲンには、髪の「成長期」を長く維持し、髪にハリやコシ、ツヤを与えるという、まさに髪の守り神のような働きがあります。女性の髪が、一般的に男性よりも長く、豊かに保たれるのは、このエストロゲンの恩恵が大きいのです。しかし、このエストロゲンの分泌量は、常に一定ではありません。まず、大きな変化が訪れるのが「妊娠・出産」の時期です。妊娠中は、エストロゲンの分泌量がピークに達するため、ヘアサイクルの成長期が延長され、抜け毛が非常に少なくなります。しかし、出産を終えると、ホルモンバランスは急激に妊娠前の状態に戻ります。これにより、成長期を維持されていた髪が一斉に「休止期」に入り、産後2〜3ヶ月頃からごっそりと髪が抜けてしまうのです。これが「分娩後脱毛症」で、通常は半年から一年ほどでヘアサイクルが正常に戻り、回復します。次に、より長期的な変化をもたらすのが「更年期」です。40代後半から始まる更年期には、卵巣機能の低下に伴い、エストロゲンの分泌量が急激に減少します。すると、相対的に男性ホルモンの影響が強まり、男性のAGAと同様に、髪の成長期が短縮され、髪全体が細く薄くなる「FAGA(女性男性型脱毛症)」を発症することがあります。このように、女性のヘアサイクルは、エストロゲンというホルモンの波に大きく左右されます。この体の自然な変化を理解し、バランスの取れた食事や十分な睡眠、ストレスケアといった生活習慣で体をサポートしてあげることが、健やかな髪を長く保つための鍵となります。
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自分のヘアサイクルを知るための抜け毛チェック
自分のヘアサイクルが正常に機能しているのか、それとも乱れ始めているのか。それを知るための最も手軽で分かりやすい方法が、日々の「抜け毛を観察する」ことです。抜けた髪の毛は、あなたの頭皮で何が起きているかを教えてくれる、貴重なメッセージカードなのです。まず、チェックすべきは「抜け毛の本数」です。健康な人でも一日に50本から100本は抜けていますから、多少の抜け毛でパニックになる必要はありません。しかし、明らかに200本を超えるような状態が続いたり、以前に比べて急激に増えたと感じたりする場合は、ヘアサイクルの休止期にある髪の割合が増えている可能性があります。特に、季節の変わり目でもないのに抜け毛が増えた時は、注意信号かもしれません。しかし、本数以上に雄弁にヘアサイクルの状態を物語ってくれるのが、抜けた髪の「質」、特に「毛根」の状態です。正常なヘアサイクル(休止期)を終えて自然に抜け落ちた髪の毛は、毛根の先端が白っぽく、マッチ棒の頭のようにふっくらと丸みを帯びています。これは、毛根が寿命を全うした証です。もし、あなたの抜け毛のほとんどがこの状態であれば、ヘアサイクルは正常に機能していると考えて良いでしょう。一方で、注意が必要なのは、ヘアサイクルの「成長期」の途中で、何らかの原因で抜けてしまった異常な抜け毛です。その特徴は、毛根がなかったり、細く尖っていたり、あるいは黒く萎縮していたりすることです。さらに、抜けた髪の毛そのものが、他の髪に比べて明らかに細く、短い「産毛」のような状態である場合も、ヘアサイクルが乱れている強力なサインです。これは、髪が十分に成長する前に、成長期が強制的に終了させられてしまったことを示しています。AGA(男性型脱毛症)が進行している場合、このような弱々しい抜け毛の割合が顕著に増えてきます。毎日のシャンプーの時や、ブラッシングの時に、数本の抜け毛を手に取り、その状態を観察する習慣をつけてみてください。その小さなチェックが、ヘアサイクルの乱れを早期に発見し、手遅れになる前に対策を始めるための、重要なきっかけとなるのです。