発毛剤の主役ミノキシジルの働き

投稿日2021年11月5日 投稿先 育毛剤

現在、日本国内で市販されている、あるいは医師から処方される「発毛剤」の有効成分として、最も広く知られ、実績があるのが「ミノキシジル」です。このミノキシジルは、どのようにして髪を生やし、育てるのでしょうか。その働きについて解説します。ミノキシジルは、もともと高血圧治療のための血管拡張薬として開発されました。しかし、臨床試験中に副作用として「多毛」が見られたことから、薄毛治療薬としての研究が進み、外用薬(塗り薬)として開発された経緯があります。その発毛メカニズムは完全には解明されていませんが、主に以下の二つの作用が重要と考えられています。一つ目は、「頭皮の血行促進作用」です。ミノキシジルには血管を拡張させる働きがあり、頭皮に塗布することで毛根周辺の毛細血管の血流が増加します。血行が改善されると、髪の毛の成長に必要な酸素や栄養素が、毛根にある毛母細胞へより効率的に供給されるようになります。これにより、毛母細胞の活動がサポートされ、髪の成長が促されると考えられます。二つ目は、「毛包への直接的な作用」です。ミノキシジルは、毛根を包む組織である毛包、特に髪の毛を作り出す「毛母細胞」や、その働きをコントロールする「毛乳頭細胞」に直接働きかけると考えられています。具体的には、毛母細胞の増殖を促進したり、細胞死(アポトーシス)を抑制したりする作用が示唆されています。また、ヘアサイクルにおいては、活動を休止している「休止期」の毛包を、活発な「成長期」へと移行させ、さらにその成長期の期間を延長させる効果も期待されています。これらの作用が複合的に働くことで、ミノキシジルは、細く短くなってしまった髪(軟毛)を太く長く成長させ、休止していた毛包から新たな髪を生やす「発毛」を促すのです。AGA(男性型脱毛症)治療においては、抜け毛の原因(DHT)を抑える内服薬(フィナステリドなど)と併用することで、より高い効果が期待されることもあります。ミノキシジルは、医学的に発毛効果が認められた数少ない成分の一つであり、発毛剤の主役として重要な役割を担っています。