健康な状態であれば、髪の毛全体の約9割が「成長期」にあり、残りの1割が「退行期」や「休止期」にあるという、絶妙なバランスが保たれています。しかし、何らかの原因でこのヘアサイクルが乱れてしまうと、そのバランスが崩れ、抜け毛や薄毛といった問題が引き起こされます。ヘアサイクルが乱れるとは、具体的にどのような状態を指すのでしょうか。それは、本来なら数年間続くはずの「成長期」が、異常に短縮されてしまうことを意味します。例えば、AGA(男性型脱毛症)の場合、脱毛ホルモンDHTの影響によって、髪の成長期がわずか数ヶ月から1年程度にまで短くなってしまいます。すると、髪の毛は、本来の太さや長さに到達する前に、未熟なまま強制的に「退行期」、そして「休止期」へと移行させられてしまうのです。その結果、どうなるでしょうか。まず、抜け落ちる髪の毛が、太く長い「硬毛」ではなく、細く短い「軟毛(産毛)」の割合が増えていきます。シャンプーの時や枕元で、このような弱々しい抜け毛が目立つようになったら、ヘアサイクルが乱れているサインかもしれません。さらに、成長期が短くなるということは、それだけ早く休止期に入る髪が増えるということです。つまり、全体の髪の毛の中で、成長している髪の割合が減り、抜け落ちるのを待っている髪の割合が増えてしまうのです。これにより、髪全体のボリュームが失われ、地肌が透けて見えるようになります。そして、この状態が長く続くと、毛根そのものが弱ってしまい、やがては新しい髪の毛を作り出す力を失ってしまうこともあります。ヘアサイクルの乱れは、薄毛の進行そのものです。この乱れに早く気づき、その原因を取り除いて、サイクルを正常な状態に戻してあげることが、薄毛対策の最も重要な鍵となるのです。