外用薬でも起こる?ミノキシジル多毛症
ミノキシジルといえば、頭皮に塗るタイプの「外用薬」が一般的です。「塗るだけなら、多毛症のような全身性の副作用は起こらないのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、残念ながら、ミノキシジル外用薬を使用した場合でも、副作用として「多毛症」が起こる可能性はあります。もちろん、内服薬に比べるとその頻度や程度は低いとされていますが、ゼロではありません。ミノキシジル外用薬は、有効成分を頭皮に直接浸透させ、局所的に作用させることを目的としています。しかし、塗布されたミノキシジルの一部は、頭皮の毛細血管から吸収され、血流に乗って全身へと移行します。この吸収される量は、使用するミノキシジルの濃度、塗布する量や範囲、塗布する回数、そして個人の皮膚の状態(バリア機能の強さ、傷や炎症の有無など)によって変動すると考えられます。特に、推奨されている用法・用量を超えて大量に使用したり、広範囲に塗布したり、あるいは頭皮に傷や湿疹などがあって薬剤が吸収されやすい状態になっていたりすると、血中への移行量が増え、全身性の副作用が現れるリスクが高まります。体内に吸収されたミノキシジルは、頭皮以外の部位の毛包にも影響を与える可能性があります。その結果、顔(額、頬、もみあげ、口周りなど)、腕、脚、背中といった部位の産毛が濃くなったり、太く硬い毛が生えてきたりする多毛症の症状が現れることがあるのです。特に女性は、男性に比べて体毛が薄いため、少しの変化でも多毛症として認識しやすい傾向があるかもしれません。市販されている女性用のミノキシジル外用薬の濃度が、男性用よりも低く設定されている(例:1%)理由の一つも、この多毛症のリスクを考慮しているためと考えられます。ミノキシジル外用薬を使用する際は、「塗るだけだから安全」と過信せず、多毛症を含む全身性の副作用が起こる可能性も認識しておく必要があります。定められた用法・用量を守り、もし体毛の変化など気になる症状が現れた場合は、医師や薬剤師に相談することが重要です。