なぜ起こる?ミノキシジル多毛症のメカニズム

投稿日2019年9月28日 投稿先 かつら

ミノキシジルを使うと、なぜ頭皮以外の場所にも毛が生えたり、濃くなったりする「多毛症」が起こることがあるのでしょうか。その詳しいメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、ミノキシジルが持ついくつかの作用が関与していると考えられています。まず、ミノキシジルの最も基本的な作用の一つが「血管拡張作用」です。ミノキシジルは、血管の平滑筋に作用し、血管を広げて血流を増加させます。頭皮に塗布した場合、毛根周辺の毛細血管の血流が改善され、毛母細胞への栄養供給が高まることが、発毛効果の一因とされています。この血行促進作用が、頭皮だけでなく、全身の毛包に対しても影響を及ぼし、毛の成長を刺激する可能性が考えられます。次に、ミノキシジルは毛包にある「毛乳頭細胞」や「毛母細胞」に直接働きかけ、その活動を活性化させる作用があると考えられています。具体的には、細胞内のカリウムチャネルを開口させることなどが関与しているとされ、これにより細胞増殖が促されたり、ヘアサイクルの「成長期」が延長されたりすると言われています。この細胞活性化作用が、頭皮以外の部位の毛包にも及ぶことで、産毛が太く長い硬毛へと変化したり、休止期にあった毛包が成長期に入ったりして、多毛の症状が現れるのではないかと推測されています。さらに、ミノキシジルが「VEGF(血管内皮細胞増殖因子)」などの成長因子の産生を促進する可能性も指摘されています。VEGFは血管新生を促す働きがあり、毛包への栄養供給を高めることに関与しています。この成長因子の増加が、全身の毛包の成長にも影響を与えるのかもしれません。これらの作用が、単独または複合的に働くことで、ミノキシジルは多毛症を引き起こすと考えられます。特に内服薬の場合は、これらの作用が全身に及ぶため、多毛症がより起こりやすくなります。外用薬の場合でも、頭皮から吸収された成分が血流に入ることで、全身的な影響が出る可能性があるのです。このメカニズムを理解しておくと、なぜ副作用として多毛症が起こりうるのかが分かりやすくなるでしょう。