ヘアカラーは薄毛を悪化させるのか
おしゃれの一環としてヘアカラーを楽しむ方は多いですが、薄毛が気になっている方にとっては「ヘアカラーが薄毛をさらに悪化させるのではないか」という不安がつきまとうものです。実際のところ、ヘアカラーと薄毛の関係はどうなのでしょうか。まず理解しておきたいのは、一般的なヘアカラー剤には、髪の色素を脱色したり、染料を髪の内部に浸透させたりするために、アルカリ剤や酸化染料、過酸化水素といった化学成分が含まれているという点です。これらの成分は、髪の毛のタンパク質やキューティクルにダメージを与え、髪を細くしたり、切れやすくしたりする可能性があります。髪が細く弱くなれば、当然ながら全体のボリューム感が失われ、薄毛がより目立つように感じられることがあります。また、ヘアカラー剤が頭皮に付着した場合、頭皮への刺激となり、かゆみや炎症、乾燥といった頭皮トラブルを引き起こす可能性があります。健康な髪は健康な頭皮から育つため、頭皮環境の悪化は、抜け毛の増加や毛髪の成長サイクルの乱れにつながり、結果として薄毛を助長する要因となり得ます。特に、頻繁なヘアカラーや、刺激の強いカラー剤の使用、間違ったセルフカラーなどは、髪と頭皮への負担を大きくします。ただし、ヘアカラーが直接的にAGA(男性型脱毛症)のような進行性の脱毛症を引き起こしたり、その進行を著しく早めたりするという医学的な根拠は、現時点では明確には示されていません。AGAの主な原因は遺伝や男性ホルモンの影響であり、ヘアカラーの化学成分がその根本原因に直接作用するわけではないと考えられています。とはいえ、既に薄毛が進行している方や、頭皮が敏感な方がヘアカラーを行う際には、より慎重な判断が必要です。美容師とよく相談し、できるだけ髪や頭皮への負担が少ないカラー剤を選んだり、頭皮に薬剤がつかないように塗布してもらったり、施術後のアフタートリートメントを念入りに行ったりといった配慮が求められます。ヘアカラー自体が薄毛の直接的な原因とは言えなくても、髪や頭皮へのダメージを蓄積させ、薄毛を目立たせる要因にはなり得るということを理解しておくことが大切です。