内服薬は特に注意!多毛症リスク
ミノキシジルには、外用薬(塗り薬)だけでなく、内服薬(飲み薬)も存在します。日本では薄毛治療目的では未承認ですが、一部のクリニックでAGA治療などに用いられることがあります。このミノキシジル内服薬を使用する場合、副作用としての「多毛症」のリスクは、外用薬と比較して格段に高くなると考えられています。ミノキシジル内服薬は、服用すると有効成分が消化管から吸収され、直接血流に乗って全身に行き渡ります。頭皮に塗布する外用薬のように、皮膚からの吸収というステップを経ないため、より高濃度のミノキシジルが全身の組織や毛包に到達することになります。そのため、ミノキシジルが持つ「毛包を活性化させる作用」や「血行促進作用」が、頭皮だけでなく、全身の毛包に対してより強く、そして広範囲に及ぶ可能性が高いのです。結果として、頭髪以外の部位、例えば顔(額、頬、もみあげ、眉間、鼻下、顎など)、腕、脚、胸、背中、肩といった、本来あまり毛が生えていない場所や産毛だった場所に、太く濃い毛が生えてくる「多毛症」が、比較的高い頻度で副作用として現れることが報告されています。特に女性の場合、顔周りの多毛は美容上の大きな悩みとなり得ます。この多毛症の程度には個人差がありますが、服用量が多いほど、また服用期間が長くなるほど、現れやすい傾向があると考えられます。ミノキシジル内服薬による多毛症は、服用を中止すれば徐々に改善していくことが多いとされていますが、元に戻るまでには時間がかかる場合もあります。ミノキシジル内服薬は、多毛症以外にも、動悸、息切れ、むくみ、めまい、血圧低下といった全身性の副作用のリスクが外用薬よりも高いとされています。これらのリスクがあるため、日本では薄毛治療薬として承認されておらず、その使用は医師による極めて慎重な判断と、厳重な管理下で行われるべきものです。もし、ミノキシジル内服薬による治療を検討する場合は、多毛症を含むこれらの副作用のリスクについて、医師から十分な説明を受け、メリットとデメリットをよく理解した上で、納得して治療を選択する必要があります。安易な気持ちで服用を開始するのは避けるべきです。