なぜM字型に?AGA原因との関連

投稿日2023年3月28日 投稿先 AGA

男性型脱毛症(AGA)の典型的なパターンとして知られるM字はげ。なぜ、他の部分ではなく、額の左右の生え際から薄毛が進行しやすいのでしょうか。その理由は、AGAの根本的な原因である男性ホルモン(DHT)と、その影響を受ける毛根の感受性の違いにあります。AGAは、男性ホルモンのテストステロンが「5αリダクターゼ」という酵素によって、より強力な「DHT(ジヒドロテストステロン)」に変換されることから始まります。このDHTが、毛根にある「アンドロゲン受容体」と結合すると、髪の成長サイクルが乱され、成長期が短縮し、髪が細く短くなって抜け落ちてしまいます。重要なのは、このDHTを作り出す5αリダクターゼ(特にⅡ型)と、DHTを受け取るアンドロゲン受容体が、頭部の全ての毛根に均等に存在するわけではない、という点です。研究により、前頭部(生え際、特にM字部分)と頭頂部の毛根には、Ⅱ型5αリダクターゼが多く存在し、かつアンドロゲン受容体の感受性が高い(DHTの影響を受けやすい)ことがわかっています。つまり、遺伝的に、M字部分の毛根はDHTの攻撃ターゲットになりやすい性質を持っているのです。一方で、側頭部や後頭部の毛根は、これらの酵素や受容体の活性が低く、DHTの影響を受けにくいとされています。そのため、AGAが進行しても、横や後ろの髪は比較的残りやすいのです。この部位による感受性の違いが、M字型やO字型(頭頂部)といったAGA特有の薄毛パターンを生み出す原因となっています。M字部分から生え際が後退してくるのは、その部分の毛根が、AGAの進行メカニズムに対して特に脆弱であることの現れなのです。このメカニズムを理解することは、なぜ自分がM字はげになっているのかを知り、適切な治療法(DHTを抑制する薬など)を選択する上で重要となります。