脂漏性脱毛症の改善を目指す上で、薬やシャンプーといった外側からのアプローチと並行して、絶対に欠かせないのが「食生活の見直し」です。なぜなら、私たちが毎日口にする食べ物が、症状の直接的な原因である「皮脂の分泌量」を大きく左右するからです。健康な頭皮を取り戻すためには、皮脂の分泌を促す食べ物を避け、逆にそれをコントロールしてくれる食べ物を積極的に摂る「食べるスキンケア」が非常に重要になります。まず、脂漏性脱毛症の人が「避けるべき食べ物」の筆頭は、「脂質の多い食事」です。唐揚げや天ぷらといった揚げ物、ラーメン、スナック菓子、動物性の脂肪を多く含む肉類などを過剰に摂取すると、血液中の中性脂肪が増加し、それが皮脂の過剰な分泌に直結します。次に、「糖質の多い食事」も注意が必要です。ケーキやチョコレートといった甘いもの、清涼飲料水、白米やパンなどの精製された炭水化物は、体内で脂肪に変わりやすいだけでなく、皮脂の分泌をコントロールするビタミンB群を大量に消費してしまいます。また、「香辛料やアルコール」などの刺激物も、皮脂腺を刺激して皮脂の分泌を促すため、摂りすぎには注意しましょう。一方で、「積極的に摂りたい食べ物」もあります。その代表格が、皮脂の分泌を調整する働きのある「ビタミンB群」、特に「ビタミンB2」と「ビタミンB6」です。ビタミンB2はレバー、うなぎ、卵、納豆などに、ビタミンB6はマグロやカツオといった赤身魚、バナナ、ささみなどに豊富に含まれています。これらのビタミンは、互いに協力し合って働くため、バランス良く摂取することが大切です。また、腸内環境を整える「食物繊維」や「発酵食品」(ヨーグルト、納豆など)も、肌の健康と密接に関わっています。食生活の改善は、すぐに効果が出るものではありません。しかし、地道に続けることで、体の内側から皮脂のバランスが整い、薬に頼らなくても症状が出にくい、根本的に健康な頭皮へと変わっていくことができるのです。
脂漏性脱毛症と食生活の深い関係