薄毛の進行が気になる場合や、セルフケアだけでは改善が見られない場合は、病院で専門的な診断を受け、薬による治療を検討することが、薄毛対策として最も医学的かつ効果的なアプローチの一つとなります。薄毛治療薬は、その原因やタイプに合わせて様々な種類があります。まず、最も一般的なのは男性型脱毛症(AGA)や女性型脱毛症(FAGA)に対する治療薬です。男性のAGA治療では、内服薬(フィナステリド、デュタステリド)と外用薬(ミノキシジル)が治療の中心となります。内服薬はAGAの原因物質であるDHTの生成を抑制し、薄毛の進行を抑える効果が期待できます。外用薬(ミノキシジル)は、頭皮の血行促進や毛母細胞の活性化によって発毛を促す効果が期待できます。女性のFAGA治療では、主にミノキシジル外用薬が用いられます。これらの薬は、医学的に有効性が確認されている医薬品であり、医師の処方箋が必要なものや、薬局で薬剤師からの説明を受けて購入できるものがあります。次に、円形脱毛症に対する治療薬です。円形脱毛症は自己免疫疾患と考えられており、その治療にはステロイドの外用薬や局所注射、内服薬、あるいは免疫抑制剤などが用いられます。これらの薬は、円形脱毛症の原因である免疫の異常を抑え、発毛を促すことを目的としており、保険適用となる場合があります。また、頭皮の炎症や皮膚疾患が原因で起こる薄毛に対する治療薬もあります。脂漏性皮膚炎や頭部白癬(しらくも)といった頭皮の病気が薄毛の原因となっている場合は、原因となっている疾患に対する治療薬(抗真菌薬、抗炎症薬など)が処方されます。疾患が改善すれば、それに伴う薄毛も改善することが期待できます。これらの薬も保険適用となる場合があります。さらに、内科的な全身疾患が原因で起こる薄毛に対する治療薬も存在します。例えば、甲状腺機能の異常や鉄欠乏性貧血などが原因の場合、その疾患の治療薬が処方されます。