植毛の二大術式FUE法とFUT法の違い
自毛植毛には、毛根を採取する方法によって、大きく分けて二つの代表的な術式が存在します。それがFUE法とFUT法、別名ストリップ法です。どちらの術式にも長所と短所があり、自分の希望やライフスタイル、薄毛の状態に合わせて選択することが重要です。まず、FUT法は、従来から行われているスタンダードな術式です。これは、後頭部の頭皮を、毛根を含んだ状態で帯状にメスで切除し、その皮膚片を専門の技術者が顕微鏡を使いながら、毛根を一つ一つの株、すなわちグラフトに丁寧に切り分けていく方法です。一度に大量のドナーを確保できるため、広範囲の植毛に適しており、費用も比較的安価に抑えられる傾向があります。しかし、頭皮を切除・縫合するため、後頭部に一本の線状の傷跡が残ってしまうのが最大の欠点です。次に、FUE法は、近年主流となりつつある新しい術式です。こちらは、メスを使わずに、直径1mm程度の極細のパンチという器具を用いて、毛根を一つずつくり抜くように採取する方法です。頭皮を切除しないため、線状の傷跡が残らず、術後の痛みも比較的少ないのが大きな長所です。そのため、後頭部を短く刈り上げるようなヘアスタイルをしたい方にも適しています。しかし、採取に時間がかかり、医師の高い技術力が求められるため、費用はFUT法に比べて高額になる傾向があります。また、広範囲の植毛には複数回の手術が必要になる場合もあります。どちらの術式が優れているというわけではなく、それぞれに一長一短があります。自分の理想とする仕上がりや、予算、ダウンタイムの許容度などを総合的に考慮し、カウンセリングで医師と十分に相談した上で、最適な方法を選ぶことが大切です。